こんにちは。黒永会計事務所の黒永です。前回のコラムでは、人口減少が国家財政に壊滅的な打撃を与え、年金・介護保険の崩壊につながるという危機的状況をお伝えしました。
今回は、いよいよこの少子化を招いている「真の原因」に切り込みます。多くの方が抱いているであろう”あるイメージが、実はデータで覆されるかもしれません。

「子供を産まなくなった」は本当か?
少子化と聞くと、「最近の夫婦は子供を産まなくなった」「2人目・3人目を諦める家庭が増えた」というイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。
しかし、統計データが示す事実は、その印象とは大きく異なります。
結婚した夫婦が最終的に持つ子供の数(完結出生児数)は、過去30年間ほぼ一貫して約2人を維持しています。つまり、結婚した夫婦は今も昔もおおむね2人の子供を育てているのです。
出生率の変化
1974年 2.01人
↓
2024年 1.15人
「2人目、3人目を諦めたから少子化になった」
——この広く信じられている”常識”は、実はデータ上の事実ではありません。
結婚した夫婦が産む子供の数は、過去30年間ほぼ変わらず約2人。
では、なぜ子供の数は減り続けているのか?
少子化の真犯人は「結婚する人の激減」
答えは明確です。少子化の最大の原因は、「結婚する人の割合が劇的に減ったこと」にあります。
過去50年間で、結婚している人の割合(有配偶率)は約半分にまで低下しました。そしてこの有配偶率の低下に比例するように、出生数も約60%減少しています。
この2つの数字の連動は偶然ではありません。結婚した夫婦が産む子供の数がほぼ変わっていない以上、出生数を左右しているのは「何人産むか」ではなく、「そもそも結婚するかどうか」なのです。

つまり、少子化問題の核心は「子育て」の問題ではなく、「成婚率の低下」という問題です。
過去50年間で有配偶率は半減。 出生数も60%減少。 少子化の真犯人は「結婚する人が減ったこと」だった。
的外れな少子化対策が続いている
この事実を踏まえると、これまでの政府の少子化対策がいかに的外れであったかが見えてきます。
岸田内閣が掲げた「異次元の少子化対策」の中身を見ると、児童手当の拡充や育児休業の充実など、「すでに子供がいる家庭」への支援策がほとんどです。もちろん、これらの施策自体は大切なことです。しかし、少子化の根本原因が「結婚する人の減少」にある以上、結婚を増やすための施策が抜け落ちていては、問題の本丸を攻めていることにはなりません。
さらに問題なのは、その財源を「社会保険料の上乗せ」で賄おうとしている点です。これから結婚し、子育てをしようとする若い世代の手取りを減らしてしまっては、結婚へのハードルをさらに上げることになりかねません。
少子化対策の財源を、少子化を加速させかねない方法で集める——これは本末転倒と言わざるを得ません。
少子化対策=「結婚支援」という視点の転換を
ここまでの議論をまとめると、少子化対策で本当に必要なのは、次のような視点の転換です。
「子育て支援」だけでなく、まず「結婚支援(成婚率アップ)」に本気で取り組むこと。
結婚した夫婦が子供を産む力は、今もしっかりと維持されています。足りないのは「結婚する人の数」です。であれば、結婚したいと思える環境づくり、出会いの機会の創出、そして結婚できるだけの経済力をつけるための支援こそが、少子化対策の第一歩となるはずです。
少子化対策の本丸は「子育て支援」ではなく「結婚支援」。 この視点の転換が、日本の未来を変える第一歩です。
次回は、この「結婚支援」の具体策として、世界の成功事例(フランス・ハンガリー・スウェーデン)から日本が学ぶべきヒントを探ります。