信託制度を使った相続対策とは?
では「信託」とはどういうものか、みていきましょう。
「信託制度」は中世ヨーロッパが起源で、そのころ戦争が長く続いていて、父さんが妻子を残して戦場に行く前に、財産の管理を信頼できる親戚に依頼して、自分が戦死しても妻子の生活が困らないようにしたのが始まりといわれています。そうすることにより、戦地に行っている本人に代わって、親戚の叔父さんが財産の賃貸借契約や売却、購入をすることが可能になり、その収入を残された妻子に定期的に渡すことが可能になります。
このように「信託制度」とは、自分の財産を他人に託して自分の家族に利益を確実に渡していくという、人間が長い間かけて作り上げた制度で、文字通り「信じて託す」ということなのです。
信託制度には、登場人物が三者います。
財産の所有者でその管理を依頼する父親=「委託者」、頂かった叔父さん=「受託者」、その収入(利益)を受ける美子=「受益者」という三者です。
父:依頼人(委託者)
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叔父:代理人(受託者)
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妻子:利益もらう人(受益者)
「信託制度」にはいろいろなバリエーションがありますが、これを使うことにより、今まではできなかった相続対策が可能になりました。